認知行動療法で自己肯定感が下がる?

認知行動療法

ネガティブ思考が強い人が認知行動療法を行った場合、一時的に自己肯定感を下げる可能性もあります。これは、その人のネガティブ思考自体の強さや自己受容力に関係します。

ネガティブ思考と自己肯定感

自己評価への影響
ネガティブ思考は、自己評価に対して否定的な影響を受けることがあります。ネガティブな自動思考が支配的であると、個人は自分自身に対して否定的な評価をし易くなります。

自己批判
自己否定的な人は、自分自身に非常に厳しいことがあります。これが精神疾患やうつ病の要因ともなります。

ネガティブ思考を変えるプロセスで起きること
ネガティブ思考を変えようとする過程で、失敗や挫折をすることがあります。これは、新しい肯定的な思考パターンを確立するプロセスが容易ではないためです。この事は、自己評価をさらに低下させ、自己否定感を増加させる可能性があります。

ネガティブ思考は自動思考から

ネガティブ思考は一般的に自動思考によるものです。自動思考とは、無意識のうちに頭の中で自動的に現れる思考や信念のことです。自動思考は感情や行動に影響を与えます。

ネガティブ思考は、自己評価に対する否定的な評価信念やを含む自動思考の一部です。ネガティブ思考は、不安、抑うつ、ストレスなどの精神的な健康問題に関連していることがあります。

自動思考は、ストレスを回避するための思考

自動思考は一部の場合、ストレスや不快な感情を回避しようとする思考と関連していることがあり、生きてきた中で構築されたものとされています。

回避思考
自動思考の中には、問題やストレスの源から遠ざかり、不快な状況を回避しようとする傾向が含まれることがあります。失敗した場合の恐れに関する思考が自動的に現れることもあります。

安全なゾーンの維持
自動思考は、自分を安全なゾーンに保とうとする試みと関連しています。 新たなリスクを冒さないようにするための自己保護メカニズムの一部です。

逆行動への導因
ストレス回避の自動思考は、実際の行動につながることがあるかもしれません。

回避思考が長くなると自動思考はより強くなります。

自動思考が構築されるプロセス

自動思考(automatic thought)は、個人が日常的に経験する思考の一部で、特定の状況や異常に対する反応として自然に現れます。 これらの思考は、生まれ存在するのではなく、生涯を通じて形成されます。以下は、自動思考が形成されるプロセスについてのいくつかの要素です。

経験と学習
自動思考は、個人の経験と学習に基づいています。子供の頃から、環境や人間関係、過去の出来事など、自動思考の基盤となる情報を提供します。失敗体験や、育てられた価値観や信念など、自動思考の形成に影響します。

社会的影響
家族、友人、教育機関、メディアなどの社会的配慮も、自動思考の形成に影響を与えます。他人からの評価や意見、文化的な価値観、社会的な考え方は、個人の思考パターンに影響を与えます。

感情の影響
感情と思考は密接に関連しており、感情が自動思考を駆動することがあります。

否定的な認知の歪みがある場合、同じ状況でも否定的な自動思考がより頻繁に現れる可能性があります。

認知行動療法で自動思考を変えていく

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy、CBT)は、自動思考や認知を変えていくことを中心とした認知治療アプローチです。認知行動療法は、不健康なパターンや思考が感情や行動に影響を与えるというこのアプローチは、人々が問題やストレスにどのように対処し、それが彼らの感情や行動にどのように影響するかを考え、変化を助けます。

認知行動療法は、以下の主要なステップで行われます。

認知の評価
患者の自動思考や自信を評価し、問題の根本原因や関連する認知パターンを特定します。

認知の移行
不健康な自動思考を肯定的で健康的なものに変えるための戦略を検討します。

行動の変革
変化した認知をもとに、行動へつなげて変化を促進します。患者は、新しい認知パターンをもとに、問題に対処する方法を変えていくことを学びます。

実践と繰り返し
認知行動療法は練習と繰り返しが重要であり、患者は新しい認知と行動を日常生活で実践し、経験を積んで学びます。

認知行動療法は、うつ病、不安障害、パニック障害、継続性障害、摂食障害、PTSDなど、さまざまな精神健康状態の治療に効果的なものであると広く認識されています。の両面にアプローチし、個々の症状に合わせて調整できる柔軟性があります。

自動思考を変えていく過程で自己肯定感が強まる可能性がある

自動思考を変えることは、今までの思考を変えていくことになります。捉え方によっては今までの価値観などを否定するような作業になるため、適切な認識と準備が必要です。

ネガティブ思考を変えるプロセスは個人によって異なり、時間がかかることもあります。継続的な努力と自己観察が鍵です。

認知の意識化

まず、ネガティブな自動思考を認識することが出発点で重要なことです。ネガティブな思考自体を悪と考えず、そのような思考になっている自分自身を認識しましょう。そこで、一旦その思考や感情に対して評価しないようにしましょう。

認知行動療法(CBT)などの心理療法は、ネガティブな自動思考を認識し、それを肯定的なものに変える方法を教えることで、ネガティブ思考に対処するのに役立ちます。しかしながら、一時的に自己否定に繋がる要素もあります。ネガティブ思考や自動思考は、今までの人生経験や価値観とも関連している部分であるため、いきなりすぐに変化できるものではありません。

なぜ、ネガティブな思考になりやすいか冷静に客観視して自己分析していきましょう。ネガティブ思考に至った経緯や背景自体を悪いことと捉えず、そこに気が付いた自分自身が前進していることにフォーカースしていきましょう。